第26話

「来春からお世話になります!!」

「うん。素晴らしい剣舞だったぞ。」

「ありがとうございます!」

仕官学校の代表、田沢信悟が一歩前に出る。

「自分は武官になり、陸王様の元でお世話になるつもりです!」

「ほーっ。」

士竜と飛竜はその決意に感心する。

「頼もしいな、待っている。」

「はい!」

陸王に言葉を掛けて貰った信悟は、気分が高揚していくのを感じた。


「皆さまお待たせいたしました。こちらでございます。」

初等科の生徒に案内され、それぞれの席に移動する。

来賓の席に腰を下ろした陸王達の元に、晴子と花がパタパタと走ってきた。


「樹。見に来てくれたの?」

二年前と変わらず、少し太めの晴子。

「ああ。陸王に頼んで入れてもらったんだ。」

「そっか。ありがとう。」

「なんだ。化粧落としちまったのか?女らしかったのにな。」

からかう樹。

「えーっ?何かベトベトして嫌なんだもん。ねー花。」

「うん。」

ニコッと微笑む、こちらも二年前と同じ髪型の花。

頷くと同時に花の匂いが陸王に届く。

その香りに目を閉じ、ゆっくり目を開くと陸王は花を見た。


ふんわりとした印象はそのままに、君は少しだけ大人になった。



「赤尾利江!」

その声に花たちが振り返る。

田沢信悟がズカズカと女生徒達のテリトリーに入っていく。

「なっなによ!田沢信悟!」

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