第21話

「浅舞の来賓ですか?」

「そうだ。急だが明日、浅舞女学院に行くことになった。」

士竜の言葉に陸王は唖然とした。


そうきたか。

黒丸様のご命令には逆らえない。


「安心しなさい。私たちもお供しますから。」

飛竜は嬉しそうに微笑む。

「士竜兄と飛竜兄もですか?」

「兄とつけるのはやめろ。俺達の上司になったのだから呼び捨てにしろ。」

「はい。」


陸王が執務室を出ると、そこに樹が待ち構えていた。

「陸王ー!」

樹は陸王の両腕をつかみ真剣な眼差しを向ける。

「明日の浅舞のお供に、俺も入れてくれ!」

「…。」

「何故です?樹。」

陸王の後ろから飛竜が顔をのぞかせる。

樹は反射的に陸王から手を放した。

「あ~俺の妹分たちの晴れ姿を、見てやりたいなと思って…。」

ばつが悪いのか苦笑いをする。

「晴子ちゃんと花ちゃんですね。」

「そうそう!」

「もう成人なんですね。美しくなられたんでしょうねー。」

「かわんねーよ!」

陸王の脳裏に、二年前の二人の姿が浮かび上がった。

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