第18話

「結婚をして子供を作ることが責務とは…。陸王も気の毒ですね。」

「それは陸王もわかっていた事だ。成人の儀が終わったら見合いをする気でいたしな。」

しかし、いざ終わってみると…。

執務室の窓辺から遠くを見つめる士竜。


やはり、結婚は好きになった人としたい。

と陸王は言った。


「俺はてっきり、浅舞で好きな女性が出来たのかとおもったが…。」

士竜はため息をつき、飛竜に向き直る。

「やっぱりあれですよ。美麗殿ですよ。

まさかお忍びで来ていた雅流武がるむ王子に見初められるとは。」

額に手をあてため息をつく飛竜。

「婚約中か。」

「恋に破れた男は、仕事にいきると言うじゃありませんか。勉学、鍛練、仕事と家の往復ですよ。」

「いま陸王はどこにいる?」

「国境警備の巡視に行ってますよ。」



隣国、一国いちこくとの国境付近には、龍の遺骸を祭っている龍塚と砦が一つあるだけで、広大な草原がどこまでも続いている。

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