第17話

「陸王は国防の要。いや、正に国防そのものなのだ。劉奈一族の血を引く者は陸王唯一人。速やかに結婚し、血脈を増やすことが何よりもの責務!

はっ!まさか男色なのではあるまいな。」

青ざめて士竜に詰め寄る黒丸父。

「父上…陸王は男に対してはもっと無関心です。」

「そうか。」

ほっとして席に戻る黒丸父。

「最近では、この国の古い歴史に興味があるようで、真正様に個別に講義を受けています。今は、学問の方が面白いのでしょう。」

「…明日、浅舞女学院で成人の儀が行われる。」

「毎年、父…黒丸補佐官様が出席されていますね。」

「今年から陸王に行かせるぞ。」

「は?」

「その次は浅舞女学院の卒業式だ。」

「陸王はまだ20歳ですが…若すぎませんか?」

「やむを得ん。」



「黒丸補佐官様も思い切りましたね。」

ここは軍部の道場の中に設けられた執務室である。陸王、士竜、飛竜の机が置かれている。

机のへりに体をもたせかけ、腕を組む飛竜。

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