第12話

美麗は、陸王達をテーブルクロスを敷いた席へ案内する。

「花ちゃん。お皿にクッキー並べて。」

「はい。」

陸王は呼ばれた名前に反応し、姿を確認する為に視線を向けた。

小柄で細身の女の子が口元に笑みを浮かべてお皿にクッキーを並べている。


あの子が花。


髪型のせいだろうか、ふんわりとした印象の少女だった。

頭にサイコロのような形の黒い飾りが2つ付いている髪止めをつけている。


カラフルなジャムクッキーを載せた皿を美麗とマリ先生が配っていく。

「さぁどうかな?」

両腕を組んで見守るマリ先生。

「マリ先生。男の方に味なんてわかるかしら。」

そう言いながら男性陣に目を移した美麗と、口いっぱいにクッキーを頬張り、皿を空にした樹の目が合った。

ぶー!!

途端に笑いが沸き起こる。

「恥ずかしい。」

「恥ずかしね。」

教室の隅で赤くなる晴子と花。

「なんだよ!俺だって味くらいわかるわ!」

樹は軽く咳払いをする。

「俺は黄色のジャムクッキーが好きだ。」

アプリコットジャムだ。

「僕は赤いジャムクッキーが好きだな。」

陸王も赤いジャムクッキーを口に運びながら呟く。

ラズベリーに少し苺を混ぜたジャム。


マリ先生と晴子と花は顔を見合せ笑顔になる。

その光景を微笑ましく思う陸王がいた。

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