第9話
中庭へ引き返していく護衛の後ろ姿に、陸王は深いため息をついた。
「それでは皆様、校内をご案内いたしますわ。」
胸の前で両手を合わせ、にこやかに笑顔を作る美麗。
「樹様、お知り合いの方のお名前を教えてくださる?」
「
「花ちゃんと晴子ちゃんね。そういえば浅舞に知り合いが出るって言ってたわ。樹様の事だったのね。」
「ええ。」
「教室まで来ると思ってないでしょうから、きっとビックリするわ。」
美麗の後をついてぞろぞろと移動する一行。
それを興味なさそうに見送ろうとする陸王の肩をガシッと樹が組む。
「おいっ。相変わらず付き合い悪いなお前。」
育ちの悪さが全面に出ている樹。
陸王をお前呼ばわりするのは同級生の中でもこの男くらいである。
「少しは花を愛でろよ。」
「…。」
促されるままに校庭から初等科の教室へと続く廊下を歩く。
さっきまで窓に張り付いていた女生徒達はみな教室の中から一行を見つめていた。
陸王は廊下を歩きながら飛竜の言葉を思い出していた。
確かに…清々しい空気だ。
仕官学校とは違うな。
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