第7話

「ちょっと誰かー。お菓子作るの手伝ってくれない?」

廊下の窓から中庭を見ていた晴子と花のすぐ後ろで、調理実習室の戸が開いた。

二人の担任 小坂部マリが顔を出す。

「あれ?マリ先生。お菓子作るの?」

「ちょうど良かった。二人とも手伝って。

浅舞の振る舞い菓子を私が作ることになっちゃったのよ。」

「いいよー!」

「楽しそう!」

パーッと表情が明るくなる晴子と花。

「あと2、3人手伝って欲しいけど…無理か。」

他の女生徒達は例に漏れず窓に張り付いている。

「先生なに作るの?」

「そこにあるお菓子の本の中から選んで。」

「はーい!」

「あ、私これがいい!」

花はジャムクッキーのページを二人に見せる。

絞りだしクッキーの中央を指でくぼませ、そこにジャムをのせる。

花はこのジャムクッキーが大好きだった。

特に甘酸っぱいラズベリージャムが好みである。

アプリコットジャムも好き。

「美味しそうだね。」

「決まりね。ジャムクッキーにしましょう。」

「先生ジャムある?」

「いっぱいあるよー。」

マリはジャムの瓶を載せてあるトレーを二人の前に置いた。

苺、桃、ラズベリー、アプリコット、マーマレード、ブルーベリーが並ぶ。

「晴ちゃん、これ混ぜてみよう!」

「え?!そのままでいいじゃん。」

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