第6話

その光景を一階の端の窓から見つめている二人の少女がいた。

樹の妹分、晴子はるこはなである。


「うわーすごーい。樹がキャーキャー言われてるよ花ー。」

「本当だね晴ちゃん。樹、人気あるんだね。」

「誇らしいね。」

「うん。誇らしいね。」

ふふっと顔を見合せ微笑む。

「あーでも、陸王様にはやっぱり勝てないねー。」

中庭に視線を戻す晴子。

「うん。校内人気ランキング1位だしね。」

「樹は4位か。」

「初めて見たけど陸王様かっこいい。」

「これは太刀打ちできないね。」


劉奈一族という稀少さに加え、端正な顔立ち。おまけに文武両道ときたら右に出るものはいない。


一行は、中庭の中央で出迎えていた女生徒達の前で止まり、お互いに一礼する。


「仕官学校の皆様、浅舞女学院へようこそ

お越し下さいました。

私、浅舞女学院の代表を努めます星山美麗ほしやまびれいと申します。」

丸襟の白い制服を着た、スラリとした長身の女生徒が一歩前に出てにこやかに挨拶をする。

「お出迎え有難うございます。仕官学校の代表を努めます劉奈陸王です。共に良い浅舞にいたしましょう。」

一歩前に出て、爽やかな笑顔で握手を交わす。

二人の姿に沸き立つ女生徒たち。

「うわっ美麗様と陸王様が並ぶと絵になるわ。」

花の袖を引っ張り感嘆する晴子。

「本当だね。」

ー陸王様は美麗様のような方とご結婚されるんだわー

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