第48話

「お前なんか、か…

端々に悪意を感じるなぁ、わざと?」


「理解が早くて助かるよ。」


「俺のこと嫌いなんだ?」


「どうとでも。」


「てかさ、何で彼女いんの?

──…千世が好きなくせに。」



一瞬、ピクッと表情に反応を見せたとき、

ちょうど戻ってきた叔父がタンブラーを叶夢に

手渡し…



「この前忘れてたろ、洗っといたからな。」


「ああ、そうだっけ、ごめん。」


「それと、はい…コーヒーふたつ。」


「ありがと。」



何事もなかったように会計を済ませ、先に店から出る叶夢と拓海が視線を合わせることはこの日

一度もなかった。

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