第47話

ずっと少し触れたままの指先に心臓が早くなる…


音が周りにも伝わってしまいそうで「着替えてくるね、」とその場を離れた。

二人を残すのはだいぶ不安だったけど、、




「叶夢、ひとつは彼女のだろ?砂糖なしでミルクだけだったよな?」


「そう、」


「入ってもらえばいいのに。」


「車で電話してるから。」



サイフォンで淹れるコーヒーの音だけが聞こえ、

妙な緊張感が漂う。



「─…拓海くんは千世のどこに惚れたのかな?

あー、いや、不躾にすまないね。

あの子をずいぶん大切にしてくれてるのがわかって、あんな風に笑う千世を見たのは初めてだったからつい、」


「いえ、

…彼女、生き方が優しくて綺麗ですよね。

ゼミで一緒に調べ物をしたとき、国際問題だったんですけど紛争による子ども達への弊害にも触れたんです。そしたら、

『こんな事で誰ひとり泣かなくてすむ日がいつかくるのかな、明日、死んでもいいと思えるくらい幸せな今日はあったのかな…』

って言ったんです。強い目をして…

彼女の心に触れた気がして、たぶんその瞬間

落ちてました。一見、儚げで守られてそうなのに…」


「…そう、か、千世がそんなことを、

聞かせてくれてありがとう。

拓海くん、これからも頼むね…」



そう言ってパントリーの方へ叔父が動くと

席を立った叶夢が拓海の横についた。



「千世は俺やお前なんかよりずっと強い、 

簡単に儚いとか使うな。」

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