第73話

中学生の時は恋愛を封じた。道徳の時間にセクシャルマイノリティが話題になったが、白々しかった。保健室やスクールカウンセラーや養護室も避けた。この時に文子を支えたのは音楽だった。


 音楽なら同性愛も異性愛も、男も女も関係なかった。好きな楽曲を語らい楽しむ。恋愛できなくとも友人は出来た。両親からは勉強を心配されたが、高校進学出来た。


 高校は化学部に入って勉強に励みながら音楽を楽しんだ。クラスメイトや部員達が次々と交際を始めるが、文子は嫉妬しなかった。しかし誰にもカミングアウトしないのは辛い。文子は部活の同輩である綾子にカミングアウトした。


 高校の時に一度、後輩から交際を申し込まれたが、勉強を理由に断った。

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