第74話

大学生の時に同性愛者支援団体がキャンパスに来て講演会を開いた。赤裸々な恋愛を淡々と真面目に語る彼らに興味を持った。文子はパンフレットをもらってサイトやSNSを閲覧するようになった。


 文子のように恋愛を避けてきた者もいれば、コミュニティに守られながら細々と恋愛する者もいれば、カミングアウトして堂々と恋愛するレズビアンもいる。


 文子は何となく恋愛したかったが、どうすれば良いのか分からなかった。当事者支援するレズビアン達に相談しても、励まされるばかりだった。


 相手がレズビアンだと分かっていても、既に他のレズビアンと交際している場合が多かった。


 支援団体ではアウティングの危険もなければ、レズビアンであることを隠す必要もなくて多少楽ではあった。しかし絵に描いたような恋愛が出来るとは限らない。


 仲良くしているレズビアンカップルを見て、文子は軽い嫉妬を覚えた。

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