第11話
その後も激しく動揺し続けていた2人だったが、頭の中では両親が既に近くにはいない事を分かっていたからだろう。勢いよく自宅を飛び出したかと思うと、村中の家々を訪ねたりしながら探し始める。だが、当然両親の姿はなく、時間の経過と共に2人の中で絶望が大きくなっていく。むしろ探している内に改めて気が付いたが、村の中の人の気配が以前よりも少なくなっていたのだ。それにより2人の絶望は深まる一方だった。
そんな時だった。探し回る2人の姿に気が付いたのだろう。村の様子を見回っていた咲が接触してくる。それだけでなく只ならぬ2人の様子で何かも察知したらしい。周囲を気にしながらも彼女は小声で尋ねた。
「もしかして…柳生君達の家にも何かあったのかしら?」
「…っ!?何で…?」
「やっぱり…。ちょっと今から私の家に来てくれません?話したい事があるので…。」
「うっ、うん…。分かった。行こう?宏太。」
「あっ、ああ…。」
咲の口から意味深な言葉が告げられた事。更には自分達の家で起きた出来事を知っているような事を口にしてきたからだろう。宏太と優子は驚き続ける。それでも咲の話が気になったからか。彼女の提案に頷くと2人は咲に付いていった。
そうして咲に誘われるがまま彼女の家を訪れた宏太と優子。だが、そこで2人は驚くべき話を聞かされる。それは…。
「実はここ…『薬師村』や周辺集落に住む一部の人達が謎の行方不明に陥っているんです。」
「行方…不明!?」
「その…どういう事なの?咲お姉ちゃん。」
咲からの言葉に驚いたからか。思わず宏太は声を上げてしまう。その一方で優子も驚きを隠せない様子だったが、咲の言葉に疑問を抱いたからだろう。すぐに尋ね、咲は言葉を続けた。『薬師村』や周辺集落に住む一部の者達が、最近何故か次々と消えている事。その事に悲しんだ家族が家に閉じこもるようになった事で、住民達の姿が極端に減ってしまっているように感じるのだそうだ。それらの事実は『桜田門家』として既に把握しているが、原因が不明であるからか。あまり周囲には漏らさないようにしていたのだそうだ。それでも咲はそれらの出来事により自主的に見回りを行う事を決意。時間があれば見回り、家に留まり続けている者達に声をかけていたらしい。その最中に宏太達を見かけ、直感で2人も被害者になった事を察知。思わず声をかけた事を打ち明けたのだった。
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