(第二話)
第6話
翌日。まだ少し薄暗い道を少し大きめのカバンを持った奈々が歩いていた。奈々の隣にはヒトツメが飛び跳ねながら一緒に歩いている。しばらく歩いていると大きな道に出た。
「じゃあ、行ってくるね。ヒトツメ。留守番は頼んだよ。」
「分かってるでやんす。気を付けて行ってくるでやんす!」
そう言ってヒトツメと別れると、奈々は最寄りの駅に向かって歩き出した。
しばらく歩き、ようやく最寄りの駅に着いた。早速切符を買い、来た列車に乗り込む。そして空いた座席を見つけると静かに腰かけた。平日の朝なのに車内は意外と空いている。座れた事に安心した奈々は、ふいに窓から外の景色を眺めた。列車の速さに合わせて建物や木々が次々と流れていく。奈々はその様子をただ見つめるだけだった。
どれぐらい時間が経っただろう?先程まで乗っていた列車は終点の駅に着き、完全に止まってしまった。奈々は列車から降りるとしばらく歩き、ある1両編成の列車に乗った。田舎方面に向かう列車のせいか車内は更に人がまばらで、何処にでも座る事が出来た。奈々は再び窓際の席に座ると外の景色を見つめ続ける。外の景色は建物が少なくなっていき、代わりに田畑が目立つようになっていた。
「もう少しでお祖父ちゃんの家か…。」
奈々はタメ息をつくと目を閉じる。そして目的の駅に到着するまで祖父の事を思い出しながら体を休めていた。
「まもなく~、三雲駅~。三雲駅です。お忘れ物をなさいませんようご注意下さい。」
車内アナウンスの声に奈々はハッと目を覚ます。どうやら目を閉じている内にいつの間にか眠ってしまったようだ。慌てて荷物を持ち直すと立ち上がり扉の前へと行く。そして扉が開くと荷物を肩に抱えて降りていった。
駅を出た後、奈々は田畑が広がる景色の中をひたすら歩いていた。いつの間にか周りは明るくなり、太陽の光で草木は光り輝いている。
「せっかく早く出たのになぁ…。」
奈々はタメ息をつきながら、あまり舗装されていない田んぼ道を歩き続ける。そして1時間ほど歩き続け、ようやく祖父の家の近くまで辿り着く事が出来た。
「…よしっ!あと少しだ!」
奈々は気合いを入れ直すと祖父の家を目指し残りわずかな道を歩き続けるのだった。
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