第十章

第12話

あれから桜華とクロードは、柊家で一緒に仕事をする様になった。


桜華は、人々の幸せを願い、舞を踊り、クロードは、光の力を使い、その力でお守りを作り、願いを込めている。


ーこんな穏やかな日常が過ごせる様になるとは思わなかった。ー



思い返せば、互いに一目惚れだったかもしれないと…。


「ねぇ、クロード」

桜華は、穏やかな口調でクロードの名を呼んだ。


「どうした?桜華」

クロードは、優しい瞳で桜華が居る方へ顔を向けた。


「こんなにゆったりした和やかな時間を貴方と過ごせるなんて、思ってなかったなぁ…って、思ったの。」


桜華は、幸せを噛み締める表情で微笑んだ。


「それは、俺も思ったよ。最初、出会った時には、消される存在だったから…今の俺があるのは、お前のお陰だよ。

こんなに幸せな日々を送れるなんて思わなかった…。」


クロードは、一つ一つを思い出す様に言葉を紡いだ。

その表情は、幸せに満ちて緩んでいる。


すると、彼の表情が一転、真剣かつ緊張感が漂う瞳に変わった。


「…成人を迎えたら、俺と結婚して下さい…!!」


クロードは、緊張した面持ちで桜華にプロポーズの言葉と指輪を差し出した。


「勿論、喜んで!!幾久しく、宜しくお願いします!」


桜華は、年相応の愛らしい笑顔を見せ、クロードに抱き付いた。


桜華の左の薬指には、煌めく指輪が嵌められ、その後、柊家では二人の婚約パーティーが開かれた。

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