第5話

桜華は、任務の為に屋敷を出た。

「今日こそ、あの男を問い詰めないと…」暫く歩いていると、男の声が聞こえた。


「俺のこと、呼んだ?」

クロードがニヤリと笑みを浮かべながら、桜華に声を掛けた。


「ゲッ!出たわね!クロード!!この間のアレは一体、何…!?」

桜華は、食い気味に彼に問いただした。


クロードは、その勢いに呆気に取られ、「何って、キスだが…」と言葉を返した。


その言葉に桜華はムッとして早口に喋り出した。

「なっ…!キスだが…って、私…初めてだったのに…こんなことってある!?しかも、巫女である私が悪魔の貴方に唇を奪われたなんて一生の不覚よ…!!」


「ごめん…。隙を突くためだったが…あの後、お前のことが可愛いと思った…。」

クロードは、ほんのり頬を赤らめている。


「へ!?私が可愛い⁈」

桜華は、顔から火が出そうになる程、頬が熱く赤くなっていった。


ー桜華は、目の前に居る男は、本当に悪魔なのか?と思った。

「貴方も美形で、中身は可愛い普通の男の人なのね。」

桜華は、にこりと笑いながら話した。

彼は、その言葉に驚いた表情をした。

「はぁ!?俺が?…何か調子狂う…。」と言った後、彼女の顔を見て静かに笑い合った。

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