第3話

「お前、『サフィロス王国』を知っているか?かなり小さな国なんだが。」トムズに尋ねられたミカエルは「まぁ名前ぐらいなら知ってるさ。王室とその周辺の面積ぐらいの広さしか存在しない国なんだろう?」と答えた。ミカエルの言葉にトムズは頷き「元々は自然豊かで観光として人気な国だった。だが前王妃が死んだ後、国王も行方不明になり衰退してしまったんだ。」と話を続ける。「で?その国が何か?」ミカエルはトムズに尋ねながらコーヒーを口にする。そんなミカエルを見つめながらトムズは「うむ。お前にその『サフィロス王国』の王女と結婚して貰おうと思ってな。」と突然言い出した。

トムズの言葉にミカエルは驚き、その拍子にコーヒーをむせる。咳き込みながらもミカエルは「何で俺が経営状況の悪化した国の王女と結婚しなくちゃいけないだ!?」と必死に尋ねた。するとトムズは「実はワシも最近知ったのだが、カーチェスト家はサフィロス王国の王家の血を引いてたんだ。まぁ先の戦争で結局2つに別れてしまったがの。あれから随分時が経って、サフィロス王国は没落しそうなっている。だが幸いにも、カーチェスト家は事業を起こしたおかげで裕福になった。だから手助けをしようと思っての。それに、ちょうどお前も恋人がいないしの!」と意気揚々と話す。

「何言ってるんだ!?小さくても国は国だろう?簡単に助けられるわけない!それに俺は結婚する気はない!!」思わず大声で反論するミカエル。そんなミカエルにトムズは「まぁお前ならそう言うと思ったわ。じゃあ今日からお前は社長をクビだ。」と冷静に言い返す。そして真顔でミカエルを見つめると「これは会長命令だ!」と強く言った。父の態度に反論出来なかったミカエルは、結局、強制的にサフィロス王国に向かう事になった。

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