(第1話)
第2話
ミカエルは運命の出会いをする。あの森の中で―。
ここは小さな国・サフィロス王国。自然豊かなこの国に、都会から1人の男性がやって来た。スーツ姿に黒髪の彼の名はミカエル・カーチェスト。大手企業『カーチェスト・コーポレーション』の社長だ。何故彼がこんな国に来たかというときっかけは数日前に遡る。
その日もミカエルは会議をしたり書類を確認したりと社長の仕事をこなしていた。するとお昼近くに誰かが社長室の扉をノックする。「どうぞ。」書類を見ながらミカエルが答えると一人の男性・秘書のケビンが部屋に入って来た。「どうした?お昼はサンドウィッチで良いと言ったはずだが?」コーヒーを口にしながらミカエルが言うと、ケビンは「それは聞いております。ですが会長がどうしても社長に会いたいと申しておりまして…。」と戸惑いながら話す。
その時、「ミカエル!入るぞ!!」と会長の大きな声と共に勢いよく扉が開けられた。「まだ『入って良い』とは言ってないのだが…。」呆れ顔のミカエルに「実の父親で会長のワシが入るのがそんなにダメなのか!?」と会長で父親でもあるトムズは怒鳴る。トムズの表情を見たミカエルはタメ息をつくと「ケビン、すまなかった。悪いけど会長に紅茶を出してくれないか?」と言いケビンを部屋から出した。
「父さん、いつも言ってるでしょう?俺に会いたい時は前もって連絡しろと。いくら会長の貴方が暇でも俺は忙しいのだから。」「何が偉そうに『忙しい』だ!ワシの会社のおかげで社長になれたというのに!それに連絡したところで会ってくれないだろう!」冷静なミカエルに対しトムズは厳しい口調。いつもの親子喧嘩の始まりだ。部屋中に声を響かせていると、再びノックの音と共に部屋の扉が開いた。「失礼します。紅茶をお持ちしました。」ケビンはそう言うと、空いたテーブルに紅茶を置き足早に部屋を出た。
大声を出していたトムズは喉を潤すかのように紅茶を一気に流し込む。そんなトムズの姿を見ながらミカエルもコーヒーを口にした。
しばしの沈黙の後「で、父さんは俺と喧嘩して紅茶を飲む為だけに来たのか?」とミカエルは尋ねる。大好きな紅茶を飲んで落ち着いたトムズは穏やかな口調でミカエルに話し始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます