第49話
私の考えが顔に出てたのかな。顔を引きつらせて両肩をぎゅっと抱いていると、
「流石に嫌がってる女に手ぇ出す程、落ちぶれてない」
と苦笑いでやはり我が物顔でソファにどさりと身を沈め勝手にテレビを付ける九条。
手を出してこない、って聞いてちょっと安心したけど油断はするな!シャワーを交代で浴び終えた後、九条は私の家に置きっぱなしにしていたスウェットのズボンだけの上半身裸に、まだ濡れた髪の上タオルを乗せてがしがしと乾かしながらリビングに入ってきたときはドキリとまた胸が鳴った。
HA・DA・KA!!?
「てか何か着てよ!」
ボスっと九条にスウェットのパーカを投げつけてやる。
「何だよ今更」と九条はパーカを受け止めて、すぐにニヤリと笑う。
「さっきは嫌がってた風だったけど、実は期待してる?」とこれまたエロく口元を吊り上げ私の座っていたソファへそれはそれは当たり前のように腰掛ける。
「そんなんじゃない!寄るな!年中発情期のあんたと一緒にしないで」私はハエ叩きを武器に九条を近づかせまいと必死で言ってやると「へーへー」と空返事をしながら大人しくパーカを着る……まではいい。
いざ寝るときになったとき、九条が当然のように私のベッドに入ってこようとして
やっぱりその気じゃん!
「あんたはソファ」と足蹴りして九条をベッドから転がり落とすと
「えー、寒いよぉ、凍えちゃうよぉ、凍死しちゃったらどうするんだよぉ」とソファの端に両手を乗せ、子犬作戦か??
「て、手ぇ出さないって言ったジャン!」
「だから出さないって。マジで寒くなってきたし、せめて寝るぐらいならいいだろ?」
う゛…
信じていいのか疑いのまなこで九条を睨み上げるも、ハックショィと大げさなくしゃみをしている九条を無下にもできず……仕方なしに私は九条をベッドに入るよう促した。
「いい!?少しでも変な気を起こしたら速攻追い出すからね!」
「分かったって、てか俺に手ぇ出されたい姫はわんさかいるのよ?」
「だからあんたの姫じゃないつーの」
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