第47話


きゅっと九条が私の肩を再び抱き寄せ、嗚呼、やっぱりこのぬくもり落ち着く……なんて感動してる場合じゃない。



「あんた、妙に冷静だね」なんか慣れてる感があるんだけど…



「こんなの可愛い方だ?俺なんてしょっちゅう脅迫電話や手紙が来る。そりゃヤベぇ程のレベルで」



………



もうやだ!頼る相手が間違ってたんじゃ!?



一瞬でも安心した私がバカだった。



九条はお尻のポケットに仕舞いこんでいた一枚の封筒を取り出し



「今日、俺の前の店…ホスト時代の店にもこれが届いたんだよね」とその封筒をテーブルに置く。九条はすでに開封されている封筒から数枚の写真と、私の家に来た脅迫状と同じタイプの紙を取り出した。



写真を覗き込むと、それは私と九条が並んでコンビニで買い物をしている姿だった。九条の顔はあまり判別できないけれど背格好や着てる服は見覚えのあるもの。って言うか私が誰か男の人とコンビニで買い物をするとしたら九条と陸ちゃんぐらいで。



「こんな…隠し撮りって言うの?……いつの間に…」見られていたことなんて全然気づかなった。



次いで、九条は私に折りたたまれた紙を見せてきて、そこにはタイプライターで打たれた文字が書かれていて。内容は



”仁科 陽妃と別れろ”と一言。



『殺す』とか物騒な言葉は書かれていなかったけれど、名指しにされていて私は口元を覆った。





「だから心配だったんだよ、お前のことが」





だから、今日ゲームアプリまで使って私に会いに来てくれたの?



九条――――……



じーん……と胸が…



ってなるかぁ!!






「お・ま・え・が!元凶だったんかよ!」



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