第44話
「どゆうこと、詳しく説明せぃ」と敦美の真剣な顔が近づいてくる。
ち、近いし怖い。
「どーゆうことって、そーゆうことって言うかぁ」なるべくこの手の話を避けたい私は人差し指を合わせて目を泳がせる。
「あー、もお!本格的に婚活仲間が減ったぁ」
敦美は大げさにテーブルに突っ伏し
「勿論、結婚式には呼んでくれますよねぇ」と切り替えも早い宝田ちゃん。結婚式で男を漁るつもりか?
「ちょっと待って、私、結婚するなんて言ってないよ」
敦美と宝田ちゃんは私の目の前で顔を合わせると
「じゃぁあのホストさんと?」と宝田ちゃんが目をぱちぱち。
「だーかーらー、アイツとは何でもないの。あれは中学からの…」もぅいーや、説明するのも面倒。
「ただの腐れ縁的な~」
どこからか声が聞こえてきて
「そうそう、だからそんなんじゃ……」
って、気づいたら私たちの席の私の隣に座った九条がビールを飲みながらにこにこ。
な、何故居るーーー!!!
ゲームのアプリはすぐにログアウトしたから居場所なんて分からない筈なのに、
「どうしてここに?」
「あのまま大人しく帰る気になれなくて呑みなおそうかな、って思ってたらちょうど仁科たちを見つけたの~」と何故かおネエ口調になって九条はにこにこ。女子会に混ざってるつもりか?
呆れて物も言えない、とはこのことを言うのだろうか。
何か言おうと口をぱくぱくさせていると
「プロポーズってあの冴えないおっさんに?」と九条は私ではなく敦美と宝田ちゃんにニッコリ営業スマイルで問いかけ、二人はぎこちなく頷いた。
「さ、冴えなくなんてないし誠実で優しいもん。あんたとは大違い」精一杯の強がりで反抗すると
「安定を求めるなんてイマドキ時代錯誤ヨ~」とまたもおネエ口調になって九条は頬杖をつく。
「てか結婚するもしないもまだ返事してない」もうやけくそとばかりブスリと言うと
「そっか~」と九条はどこか楽しそうって言うか満足そう。
「そっか」
ビールを飲みながら九条は淡い笑み。
何なのよ、もお。
そんな顔されると、全て許せちゃいそうじゃない。
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