第43話
「陽妃ちゃん、ごめんね。僕が気ぃ利かせられなくて」
陸ちゃんは私たち三人の前で深々と腰を折り、私の方が慌てた。
「ううん!陸ちゃんのせいじゃないよ。また今度ゆっくり呑もう?(もうあのメンバーでは会えないケド)」
「うん、そう言えってもらえて嬉しいよ」
陸ちゃんはほんの少し照れ笑いを浮かべながら、ちょっと後ろの方を気にした。
「お連れさんたちと呑みなおすんでしょ?大丈夫、行って?こっちもこっちで呑みなおすから」
ホントは呑みなおす予定なんてない。けれどそうでも言わなきゃ律儀な陸ちゃんのことだから私たちのことずっと気にするだろうし。
「ホントにごめんね」陸ちゃんは顔の前で手を合わせ、くるりと踵を返した。
「どうする?この後呑みなおす?」と提案してくれたのは敦美からで、ありがたかった。贖罪の意味で奢らせてもらいたかったし、九条のことを言い訳もしたかった。
適当に見つけた居酒屋さん、さっきの洒落た雰囲気とは違って大衆的などこにでもあるような居酒屋に女三人が落ち着くと
「いい人だよねー、
「ホントにぃ。ちょっと物足らないかもしれなけど、結構かっこいいし、結婚するならああゆうのがいいかなぁ。浮気とか絶対しなさそうだしぃ」と宝田ちゃんはピンク色をしたカクテルを呑み頷く。
「結婚……かぁ……やっぱそうだよね、結婚するなら陸ちゃんみたいな人がいいよね」
「なぁにー陽妃ぃ、好きなの?」とニヤリと敦美が笑って
「男女の好きとかじゃないけど、こないだプロポーズされてさ」
「「プロポーズ!!?」」
敦美と宝田ちゃんの声が揃って、
は!しまったぁ!私としたことが、やってしまったーーー!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます