第38話
会場は会社からそれ程離れていない駅前の飲食店が多く立ち並ぶ通りで、
「確かイタリアンバルって言ってた気が」と陸ちゃんからのメールを確認する為バッグからスマホを取り出すと
「げ!」と声が出た。
「どした?」と敦美がスマホを覗こうとしてきたのを、慌ててスマホを胸に抱いて画面を隠す。
”あれ”から九条から三件も電話が入ってった。何なのアイツ。暇か?イタ電か?どっちでもいいけど、無視無視。今はそんなこと考えてる余裕なんてないんだから。
陸ちゃんのメールを開くと、もう店に着いてるとのこと。
急がなくては。
と慌てて店に到着すると白い漆喰の壁がオシャレな一軒家ぽい造りのお店に
「お店のチョイスはまずまずじゃない?期待できそう」と敦美は嬉しそうにしてたし、宝田ちゃんは最終チェックなのか手鏡でひたすら前髪や後れ毛を調整。
いざ!出陣!
店に入ると茶色を基調とするウッディなテーブルや椅子、吹き抜けの高い天井には白い梁が走っていて大きなシーリングファンがゆっくりと回っている。僅かにトーンダウンした店内にはオシャレにキャンドルが配置されていた。
誰のチョイスなのだろう。趣味が良い。敦美の言う通り期待は膨らむ。
合コン話を持ち出したのは私からなのに、セッティングをしてくれた陸ちゃんにも感謝だ。
「陽妃ちゃん、こっちこっち」と奥まった、ゆったりと取った席で陸ちゃんが手を振ってる。私も手を上げ、しかしプライベートで二人きりじゃない初めてのシチュエーションにちょっと緊張を覚えつつ彼らの席に向かった。
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