第37話
『おっつ~、仕事終わり?終わりだよな。電話に出れるってことは』
と、また勝手なことを言う。ホント俺様。
「終わったよ、今日は何?」隠しきれないため息を吐きながら脚を組み額に手を置くと
『今日、呑みにいかねー?』
また急な…こいつは私の予定や内心を無視していつもズカズカと私の内部に入ってこようとする。
でも
好き、だから。
九条に我儘言われると結局会ってたけど、今日は…
「無理」
『何でぇ?』
「敦美たちと合コ……」言いかけた言葉を慌てて飲み込んだ。
『合コン!?』九条はこっちがびっくりする程声を荒げて今にもスマホの画面からにゅっと飛び出てきそうな勢い。
な、何よ……別に私だって合コンぐらい行けますもんねー
「と、とにかく私忙しいから、じゃね」最後の方はほぼ強引に電話を切ると、またも九条から電話が。
何なの!もぉ!怒り気味で電源ごと落としてやろうとかと思ってたときだった。
「先輩~お待たせしましたぁ、お化粧直しに時間かかっちゃってぇ」と宝田ちゃんが来たことにちょっとほっ。サイレントモードにしておいたから、九条からの着信を気にすることもない。
昼間はあまり気にならなかったけど宝田ちゃんの今日の服装はラベンダーレースのロングワンピ姿だった。昼間は下ろしていた髪を緩めにアップしていて、耳に掛かる後れ毛もゆらゆら揺れるピアスも計算しつくされている気がした。
わぁ…攻めてんなぁ。
私は……合コンなんて久しぶりだけど相手が陸ちゃんの友達(?)ってこともあって、黒いボウタイブラウス、Aラインのスカート。バッグは白で一応誰が来ても無難な服装だ。もっとオシャレするべきだったかなぁ…と考えているうちに敦美も「何とか仕事やっつけてきた!」と言って駆けつけてきて、私たちは無事に出発できることになった。
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