第34話
「相手には期待できそうだね~陽妃と私と、二対二?」
「んー……」言いかけたとき
「合コンの話ですかぁ」と何故か総務の宝田さんが私たちの会話に割り込んできた。
宝田さん、今日も女子力高めの(敦美曰く)あざと系の香りも服装も髪形もふんわり感を漂わせて
「私も連れてってください」と、ふんわり感とは真逆の真剣な顔で言われたとき、口の中に入れていたサバ味噌が喉につまりそうになった。
「な、何で…?」
「宝田さんて、青山くんのこと狙ってたんじゃないの?」敦美が腕を組みじろりと宝田さんを睨む。
しかしそんな敦美の攻撃にも負けない宝田さんは、本日のA定食豚の生姜焼きの乗ったトレーをそれはそれは自然な仕草で私たちのテーブルに置き、てかここで食べる気満々?で、あたかも自然に空いた席へと腰を下ろす。
「だってぇ青山さん誘っても誘ってもデートしてくれないんですぅ」と可愛らしく口を尖らせるのはもはや計算じゃなく自然か?と言うぐらい様になっている。青山くんもよくこんな可愛い子フったな。いや、フラれたのかそうじゃないのかはまだ確定じゃないけれど。
「他の(若い)社員はもう結婚してるしぃ、仁科先輩の周りってハイスペ男子が多そうじゃないですかぁ」
ハイスペ男子ぃ??
私の周りに居るのは女を食いもんにしている九条と、ちょっと根暗で超が付くほど真面目な陸ちゃんぐらいだけど。
「お願いしますぅ、連れてってくださ~い」と、うるうるおめめで言われたら男じゃなくても一発KO。
「分かった……何とか調整してみます…」と結局折れることに。
「ちょっとぉ!」と真向いに座った敦美の眼圧が凄い。
怖い……
敦美から目を逸らそうとすると、ここから少し離れた場所のテーブルに座って持参のお弁当を食べていた経理の斎藤さんとまともに目が合った。
斎藤さんは慌てて視線を逸らすと、下を向いて俯く。
昨日と言い、今日と言い……
単なる偶然―――?
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