第28話


そう飲んでもいないのに頭が痛くなって気がする。



何て能天気な。娘の一生が掛かってるって言うのに。言ったことすら忘れてるって…



『でもね、ママは誰でもそう言うことは言わないわよ?陸ちゃんだけ』



「何で陸ちゃんなの。歳が離れてるしバツイチでしょう」



『あら、あんたバツイチとか気にするタチだった?』



「気にしないけど……じゃなーーい!」



『キンキン騒がないでちょうだい。ママはこれでも心配なのよ?顔だけいい男と一緒になって失敗したママだからこそ、娘の陽妃にはそうなってほしくないの。その点陸ちゃんは真面目一筋、他の女に目移りなんてしないだろうし、大学教授って言う職業も魅力的じゃない、顔だってそこそこいいし?』



そんな他人事みたいな……



『大体ねー、女が仕事一筋なんて良くないわよ?将来のこともあるし、老後のことはどう考えてるの?』



「バツイチのママに言われたくないよ」



『あらー、ママはこの店があるしいざとなれば手放せばいいだけの話だし』



ダメだ……何を言っても無駄だ。



「顔だけいい男って九条のことなのかな……やっぱ私もママの娘ってことかな」



はぁっ…とため息をつくと



『九条くん?昔、たまに家に来てた?あの可愛い子?なぁに、あんたたち未だに仲良しなの?』



可愛い??まぁ顔だけは中学のときママから見たら子供みたいなものだから可愛いかもしれないけれど。



「仲良しって言うかたまに連絡取ってる程度」



『あら、そぉ。今はさぞかしかっこよくなってるんでしょうね』



さぞかし、かっこよくなってるわよ。



『で?九条くんがどうしたの?まさかあんたたち結婚?』



「そんなワケない!」



『じゃぁ陸ちゃんでいいじゃない。どうせあんたのことだからまともに婚活もしてないんでしょ?手間も省けるわよ?』



あのねー、結婚を『ちょっとそこまでコンビニに行くの付き合ってくれない?』って言うレベルで話すのやめてもらえる?



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