第26話
「ううん、大丈夫」私はわざとらしく、へらっと笑い「このピザ美味しいね」と本格的な薄くてクリスピーな生地のマルゲリータの一片を手に取った。言い訳ではなく、本当に美味しい。トマトソースと言いバジルと言い、モッツアレラの絶妙なとろけ方といい……
うちの会社で出している冷凍食品もピザはあるけれど流石にここまでのクオリティはないし、どうしたら本場の味に近づけるだろう…って仕事のこと考えてる場合じゃないって。
陸ちゃんは私の好みを知り尽くしているのだろうか、いつもさりげなく私の好きそうな店をチョイスしてくれる。
オンナの為ならマメな九条だったら難なくこなしそうだし、知ってそうだけど、陸ちゃんの場合そう言う面では疎いことを知っている私はきっと若い学生たちに聞きこんだり、ネットで調べてくれたりしてるんだろうなーって思う。
嗚呼、わが物顔で私ん家のソファでふんぞり返っている誰かさんにこの努力を分け与えてやりたいよ。
「そう言えば今朝の電話で話したい事があるって言ってたよね。ごめんね、それなのに私ばっかり」
と言いつつも、陸ちゃん相手だとどうしてもマイペースになれるって言うのかな、飾らなくていいから気楽なもので今も「次、何飲もうかな、陸ちゃんは?食べたいものとかある?」とメニュー表を開いて笑った。
すると陸ちゃんは至極真剣……と言うか元々あまり喜怒哀楽がない人だから他人から見たら真剣なのかどうか分からないだろうけど、まっすぐに私を見ていた。
「?」私は首を捻り、陸ちゃんの言葉を待っていると、陸ちゃんは小さな箱……それはドラマや映画で良く目にする”アレ”、そう女子が一度は夢見る”アレ”サイズの箱を開け、それこそドラマや映画でしか見ないシーンそのものの仕草で蓋をそっと開けると
あ……眩しっ!!
と思わず目を逸らしてしまいそうなキラキラとしたダイヤ……ホンモノだよね?(←失礼)の指輪を見せてきた。
「仁科 陽妃さん、僕と結婚してください」
ぇえーーーーー!!
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