第55話

祖父母は孫のチヒロを珍しそうに眺めている。自分達にとって当たり前の事が孫にとっては不思議で尊いのだ。


 昨日のチヒロは祖父母に怯えていたが、今ではすっかり饒舌になっている。祖父母も孫に感心と関心を持つようになった。シズヤはほう、へえ、と曖昧に相槌を打っているが孫の話を熱心に聴いている。ミユキも孫に聞き返している。


 ヒロミは黙って食事を摂っている。無関心というよりも、娘と両親が打ち解けてひと安心しているのだ。


 今回の夕食はヒロミが作った。昼間にヒロミが川から魚を取ってきて味付けして焼き、季節の野菜をミユキの作った調味料でえた。飯も釜戸から丁度よく炊けている。

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