第10話

第12話

「ここって、ヘアサロンだよね…?」


かけるの頭の中にハテナマークが駆け巡る。


その表情は、とても複雑な表情だ。


「うん!イメチェンすれば、かけるくん自分に自信を持ってくれるかな?って!♡

さぁ!一緒に行こう!!」


アイカは、かけるの手を取り、勢いよくヘアサロンに入店していく。


「うわぁぁぁッ!!手を引きながら、そんな勢いで行くなよー!!」


ーこれじゃあ、店に入る前からヘトヘトだ。ー


かけるの表情は、一瞬でジェットコースターに乗った後の様な顔になり、店に入る時には、疲れ果てていた。


「いらっしゃいませ!今日は、どんな感じにされますか?」


すると、かけるの背後から、アイカが勢いよく顔を覗かせた。


「あのね!かけるくんが、自分に自信が持てる感じにして欲しい!!」


期待を込めた満面の笑みで、アイカは美容師にリクエストした。


「畏まりました!可愛い彼女さんからのリクエストに応えられる様、爽やかに変身しましょうね!!」


「ゲホ、ゴホッ…!!」


「可愛い彼女さん」の言葉に、反応して咽せてしまった翔だったが、全てお任せすることにした。


1時間後。


「アイカ?終わったよ。」


ヘアカットが終わり、かけるが声を掛けると、アイカは一瞬固まった表情をしていた。


かける…くん、だよね…?めちゃくちゃ格好良いんだけどッ!!♡」


アイカの目がハートになっている。


「うわッ…!!」


アイカが勢いよく、かけるに抱き付いてきた。


「僕は、自分の姿をまだ見てないから、分からないんだけど…。」


かけるは、困惑した表情を浮かべた。


「じゃあ、鏡を見て!!」


アイカが差し出した鏡の中には、今までに見たことのない自分がそこに居た。


ー自分で言うのも変だと思うけど…何と言うか、今時のアイドルグループに居そうな爽やかな風貌だ。ー


「正直、ここまで変われると思ってなかった。

ありがとう、アイカ!」


気持ちが明るくなったかけるは、アイカに礼を言った。


「爽やかでハッピーオーラなかけるくん、とっても素敵だよ!!

…ねぇ、折角だから、このまま私とデートしよ♡」


「デ、デートぉー!?」


その無垢な笑顔イノセントスマイル彼女アイカに、僕はまだまだ振り回される。

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