第7話

第9話

朝、目が覚めるとアイカが居なかった。


かけるが慌てていると、母が「アイカちゃんなら、先に出るって言って出掛けて行ったわよ。」と一言。


ー教えてくれたのは良いが、一人で何処に?ー


疑問のモヤモヤが晴れないまま、かけるは学校に行った。


学校の教室へ入ると、いつになく賑やかな様子だ。


「今日、転校生が来るんだって!」

「こんな時期に?もう直ぐ文化祭を控えた、凄く中途半端な時期だけど…。」

「どんな子かなぁ?」


クラス中で様々な予想が飛び交っていると、チャイムが鳴り、先生が教室へ入ってきた。


「おはようございます!

今日は、まず転校生を紹介します。」


すると、そこへ見覚えのある桃色の髪をした彼女が入ってきた。


かけるは、彼女と一瞬目が合い、思考が止まった。


「桃野 アイカです!

楽しい学校生活を送りたいと思っています!今日から、宜しくお願いします!」


甘みを含んだクリアで明るいアイカの声が教室に響いた。


ー次の瞬間ー

アイドルの握手会さながらの拍手と歓声が教室中に響いた。


「アイカちゃーーん!!可愛いー!!」

「友達になってー!!」


「ありがとう!」

アイカは、優しい笑顔でクラスメイトに声を掛けた。


「桃野さんの座席は…真城くんの隣ね!」

「やったぁ!かけるくんの隣♡」


ー「かけるくんの隣」ー

教室の中に居る全員が、その言葉を聞き逃さなかった。

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