第29話
「今度のHybrid Teaの新店舗企画、楽しみですね!」
弓削くんはチキン南蛮定食の乗ったトレーを置きながらわくわくと顔を輝かせて席に座る。
弓削くん…君もチキン南蛮か。
カップルって食事の嗜好も似てくるのかな。私は先日の弓削くんの婚約者、奈津美の姿を思い出した。
「けど、許せないですね!開発部と外食事業部」
弓削くんは珍しく声を荒げて乱暴に割りばしを割る。
「だよな。自分たちの無能さを前川のせいにして」
「いいよ、慣れてるし」私は再びスプーンを持つ手を動かせた。
「でも、言われっぱなし、やられっぱなしなんてイヤだからね、私も。やるときはやるわよ」
「そうこなくっちゃ」塩原が軽く手をあげ、私は塩原の手にハイタッチ。同じように塩原は弓削くんの方にも向け、弓削くんとハイタッチ。私たち、結構いいチームじゃない?
「営業部の底力みせてやりましょう!」
「仕事もいいけどプライベートはどうなの?弓削くん、奈津美とちゃんと仲直りした?」
私は先日、奈津美が弓削くんと喧嘩していることを定食屋で聞かされて以来、その後どうなったか奈津美から聞かされていない。
チキン南蛮の切れ端にかぶりついてた弓削くんがチキン南蛮の欠片を喉に詰まらせたのか盛大にむせた。
「な、何でそのことを!?」
「奈津美から聞いた」私は苦笑いであっさり白状。
「何、お前ら”また”喧嘩?」と塩原も顔を歪ませる。
”また”と言うから、喧嘩が多いのか。
塩原はそこのところ私より詳しそうだ。弓削くんとは同性どうしだし、何かと仲良いしその辺のこと相談してるんだろうな。
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