第2話


「やっばー!終電、終電!」



またも…たぶん敦子が……?ううん奈津美が言ったんだ。



敦子はご主人が車で迎えに来てくれてた。これまたたっかそうな外車だった記憶もある。



色は……白だったか、シルバーだったか…



流石に夜も12時を過ぎると色の判別が難しいよね。だからここの所の記憶は曖昧でもおかしくない。



奈津美はそこから電車で20分と言う所の田舎でもない、かと言って大した都会でもない…なんて言ったら失礼よね、の地区の婚約者と同棲中のアパートに。



私は……と言うと奈津美よりもっと田舎と言える…まぁそれでも一応市内ではあるが。の、これまた一応「マンション」と言う名の部屋に帰る予定だった。



塩原は、確か私と逆方向の、割と近めの…どっちかと言うと都会の方に入るこれまた私や奈津美と同じくマンション(またはアパート)に一人暮らし、と前に聞いたことがあるけれど、それ程興味がなく、



「わー、うちの方の電車もう無いよ。しょーがない、高速バスで帰るかぁ」と私はうつろな視線で腕時計に視線を落とした。



近距離高速バスは深夜の時間帯に入っていたけれど、不思議なことに昼より運行数が多い。



価格も定期券を使わなくても、それほど変わらないぐらいだから便利っちゃ便利。



私たちは、それぞれの家路につくため、店の前で別れる筈―――だった。



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