今日はなかなか寝付けなかった。いつもなら、もう眠っている時間なのに。


 眠気が来ないため、私は本を読んで眠気が来るのを待つことにした。


 読書にふけていると、ふすまの向こうから物音がした。すぐに頭に浮かんだのは、彼のことだった。私は急いで立ち上がって、ふすまを開けた。


 そこにいたのは、黒猫だった。黄色の目が月の光を吸い込み、光っていた。猫はこちらをしばらく見ると、庭の方へ走っていき、ひょいと塀を超えて行ってしまった。


私は少しがっかりした。正夢だったら良かったのにと、一瞬考えてしまった。


 ふすまの先にいたのが猫で拍子抜けしたのもあり、段々眠くなってきた。布団にもぐり、目を閉じた。今日は何も夢は見なかった。いや、見ていたのかもしれないが、何も記憶のないまま朝を迎えた。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る