七
ゴーン、ゴーン
夢から覚めたかのように、はっとした。予鈴の音だった。
頬杖をして窓の向こうを見ていた姿勢から背筋を伸ばし、黒板の上にある時計を見た。もう予鈴がなる時間になっていたのだ。
周りを見渡すと、数人こちらを見ていた。そして私と目が合った瞬間、視線を黒板に戻した。後で先生につけ口されるだろうか。
この女学校には友情何てものはなくて、皆上辺だけの会話しかしない。令嬢ばかりいるので、皆プライドが高いのだろう。
時代は江戸から明治に変わり、国は女性教育にも力をいれるようになった。江戸時代であれば私はとっくに嫁いでいる年齢だが、今はこうして学校に通っている。
もう授業が始まるというのに、頭の中はあの殿方のことでいっぱいになっていた。
あの殿方は私の秘密になった。所詮、夢だけれど。
誰かに話したって、今まで殿方と何の接点もなく、関わりもなかった私が急に男性の話をしたら、周りは根掘り葉掘り聞いてくるだろう。ましてやお父さまやお母さまの耳にでも入ったら血相を変えるだろう。
私も黙るしかないようだ。
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