第34話
「おい」
そう言って肩を引っ張られる。
「キャッ」
ヤバい、顔を見られる。
「……………ミサキ?」
ああ、もうなんて最悪なの。
最悪すぎる。
最悪最悪最悪
「雅人さんお久しぶり…。
雅人さんも此処の契約者だったんだね」
諦めて笑うと、雅人さんは嬉しそうに私を抱きしめた。
それを見て、案内の人がビックリとして目を大きく開ける。
そりゃそうだろう。
こんなどこにでもいそうな女がなんでこんなとこを契約できるVIP客に抱かれるなんて。
しかもさっきまで全く知り合いそうじゃなかったというのに、こんな事になるなんて思っていなかっただろう。
「なんでここに?ミサキが高校生だったという事だけは聞いていたし。色々あって消えるとは聞いたけど、どうしても会いたかった。会いたかったミサキ」
そういって抱きしめるがチンっと音と共に案内の人がハッして雅人さんを見る。
「す、須藤様、つきましたが、いかがなさいますか?」
「あ、ああ。ミサキ、君は…9階?に用があるのかい?少し時間ないか?部屋に来ないか?」
雅人さんは、エレベーターの中の液晶を見て階を見て言った。
はあっと溜息をついてから携帯で時間を見る。
まあ時間が決められている訳じゃないから少しくらいならいいか。
それにきっと断っても9階まで来て誰に会いにきたかも調べそうだし。
雅人さんにはよくしてもらっていたし、わりと信頼もしていた客だ。
「大丈夫ですよ。
あの、9階には自分で行きますので、あの連絡だけいれといてもらえますか?ただ雅人さんとの事は内密で、ただ少し用ができて遅れると部屋の方に伝えて下さい」
「あ、はい、かしこましました」
少し動揺した顔をしたが流石ここのホテルの従業員すぐにきちんと態様ができている。
そんな事を思いながら、雅人さんが私のバックを預かり私の肩を抱きエレベーターから降りる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます