第33話

「青山に通ってるのかい?」



急に喋りかけてきた。

制服を見てだろうか…。


顔を見ないようにしよ。

もし知り合いの時は大変だ。



「はいそうです」



小さな声で答えると。



「そうか、あそこの理事長とは知り合いなんだよ」



「そうなんですか」




……やばい。

この声は…。




さっき、須藤様って言っていたよね…。


ああ、もうありえない…まさか。




顔を伏せて見えないようにしなければ。




「でも、青山の制服をきた御嬢さんをここで見るのは初めてだな。契約者じゃないだろ?誰かの知り合いかな?」



前から思ってたけど、この人は…

普通にエレベーターで一緒になった人にそんなに喋りかける?


まあここの客はほとんど自分たちとつながりがあるVIPだとわかっているからなのか…。



少しそんな事を考えていると間が開いてしまった。




「聞こえてないのか?」




ああ、ちょっと間が空いただけなのに金持ちは待てないのかなぁ。



案内してくれる人の顔色が変わる、異常に青くなっていく。


ああ、わかってるわよ。

あんたが心配してるのはこのVIP客が怒るのは困るんでしょ?



でもこっちだって色々あんのよ。

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