第23話

「大丈夫?肩が震えてるよ」



心配そうにユウノは修二の肩を優しくたたいた。



「アイツの目がどうしたんだ?」



俺がそう聞くとゆっくりと顔を上げた。



「俺を、俺たちを、

知っている」



そう、そうだな。

きっとお前の事も知っているだろうな。



修二は二男で、愛されなかった子。

よくあることかもしれない、長男だけが寵愛される事は金持ちの世界で多くあるかもしれない。


でも修二の家は異常だった。


修二に金や服や見た目に対して喜友名家の名に恥じないようにはしていたがそれ以外はまったくの無だった。


名前も呼ばれない、

姿さえ見ようとされない、


そう、なかったかのように家で扱われている。


それを知っているのは俺らときっと喜友名家の者だけ。


それは喜友名家として隠すべき事だからだ。

そして何より修二にとってもそれは知られたくない事だった。



だけど、きっと、


あの女は知っているだろう。

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