第一章 生まれて初めて人外転生
第1話 異世界に人外転生!!
そよ風が木の葉を揺らし葉が擦れ合う心地の良い音も聞きながら私は眠っていた。
少し木陰にいるせいか肌寒い気もするが、外で昼寝をするならそれも醍醐味だ、私が心地の良い音を聞きながらもう少し寝ようと思い深い眠りに入ろうとしたその時ふと違和感に気づいた。
『あれ? なんで私外で寝てるの?』
女は自分が外で寝ていることに違和感を覚えたのだ。
『私は確かベットで寝ていた筈じゃ?』
女は自分がベットで寝ていたことを思い出し同時にまた違和感を覚えた。
『あれ? ベット? 私…ベットで寝てたんだよね、あれ、なんで私こんな外にいるの、それに私は誰?』
女は自分が誰なのかを忘れてしまったのだ、自分が一番知っている筈の名前や顔も全てをだ、それ以外にも家族や友人の名前も顔も全てを思い出せず頭の中が混乱していた。
『どうなってるの? なにも思い出せない、いやまずは落ち着いて状況を整理しよう』
女は混乱する頭を無理やり落ち着かせて現状把握をしようとした。
『まずは起きて今私が何処にいるのか確認しないと』
女は目を覚まして周りを確認しようとしたが、ん? と疑問を持った。
『あれ? 私って今起きてるの、寝てるの?』
そう、女は今自分が起きているのか寝ているのかわからなかったのだ。
その理由は、女が先程から意識を覚醒させて考えているからだ、普通人間は眠りから覚めたらまず目を開ける、もしくは微睡の中ぼんやりと支離滅裂なことやどうでも良いことなどを考えるだろう、だか女は目が覚めてから今まで自分がベットにいないのも外にいるのも全ての思考を目を閉じた時の暗い光景しか目には映っていないのだ。
女は完全に目が覚めているにも関わらず、ずっと目を開けず今までの思考をしていたのだ。
『おかしいな、なんで私目を開けなかったんだろう、まぁ目を開けなくても部屋のベットで寝ていたのに風を感じるなんておかしいし、私がいる場所もふかふかなベットの上じゃなくて草が茂ってる地面って感じの感触だからまぁ外なんだろうけど、とりあえず目を開けて今私が何処にいるのか確認しないと』
女はようやく目を開けて現状確認をしようとしたがまたもや違和感を感じた、目が開かないのだ、今までならたとえ寝起きでも薄く目を開けて周りを確認するくらい簡単に出来ただろう、だが今回はなにも出来ないのだ目を開けることも出来なければ先程から体も動かせない、まるで自分の体ではないかのように動かないのだ。
『どうなってるの? 体が動かない、まさか体が縛られてる? 拉致されたのかな? いやでも何かに縛られてる感じはしないし違うか』
女はなんとか目を開けようとしてみたり、体を動かそうとしたり試行錯誤したが結局どうやってもなにも出来なかった、どうしようかと途方に暮れながら考えていた女の頭の中に何かが突然すぅ〜っと入ってきたのだ。
女は突然のことに驚きはしたがそれよりも驚いたのは突然入ってきた知識によって自分が今までいた地球とは別の異世界に転生したという事と人間ではなくなっているという事だった。
『えっどういう事、ここは地球じゃないの? それに私人間じゃなくなってる?』
女はいきなり手に入れたその知識により一度落ち着いていた頭がまたパニックを起こした。
『いやいや、いくらなんでもいきなりここが異世界とか私が人間じゃなくなってるとか信じれるわけないでしょ!』
女はその知識が嘘だろうと思いまた落ち着こうとした、だが女が落ち着こうとしたその時女の頭の中にゲームでよく出る見慣れたものが浮かび上がってきた。
名前 なし
性別 なし
種族 ベビーアメーバ
状態 通常
Lv 1/5
経験値 0/5
ランク F
HP 5/5
MP 2/2
筋力 1
魔力 2
防御 2
敏捷 1
器用 1
幸運 3
【固有スキル】
《這うLv1》《自動再生Lv1》《消化Lv1》
《食欲Lv1》《増殖Lv1》
【通常スキル】
なし
【耐性スキル】
《精神耐性Lv1》
【称号】
《異世界転生者》《人外転生者》
《性別を超えし者》《最弱魔物w》
ステータスだ、女の頭の中に突然ステータスが浮かび上がってきたのだ。
『なにこれ、ゲームで見るステータスじゃんこれもしかして私のステータスなの? 下の称号に《異世界転生》とか《人外転生者》とかあるけど、しかも種族アメーバって本当に私異世界にきて人間辞めたの?』
女は少しの間、茫然自失になりそしてすぐに覚悟を決めた。
『いいよ、やってやろうじゃん! こうなったらこの世界で誰よりも強くなって今度こそ生き抜いてみせる!』
女は知らない事だが、異世界に来たことや人外になった事に心が折れず発狂しなかったのは【耐性スキル】の《精神耐性Lv1》が影響しているのかもしれない、だが今の女にとっては寧ろそれは幸運だった。
人外であるアメーバに転生して人間の体とは違う体のせいで思うように動けず、眼も見えないこの状況でこれ以上無駄に時間を掛ければ異世界にいる他の魔物に食い殺されていただろう、寧ろ今この時まで魔物に遭遇することもなく悠長に寝ていたり慌てている方がおかしいのだ。
女のすずめの涙ほどの幸運が今この時その実力を発揮していた、だが当の本人は全くと言って良いほど気づいていないのだが。
『よし! とりあえず、この見えない状況をなんとかしてここから安全な場所に移動しよう! まずは生き抜くことを考えないと』
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