第52話

ハハっと乾いた笑いが出た。

ああ、これは化けるな、そう思う自分がなんだか可笑しくなったからだ。



しかも、よく考えれば、銀之助おめえー何ちゃっかり銀ちゃんとか呼ばしてんだよ。



そんな事を思いながらも、俺はミサをメイクし始めた。



ミサの顔は見れば見るほど綺麗だと思った。



目、鼻、口。


なんだか、見てて気持ち良いくらいに、ここが正しい場所だと思う程だった。




どんどん、どんどん、綺麗になっていくミサに俺の手は知らぬ間に動いていた。



そしてメイクを終え髪を盛った後、俺は自然に溜息が出た。



その溜息は、何か美しいモノを見た時に身体の底から出るような吐息だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る