第41話

「今日俺の仕事はお前だけ。俺のこの後は、あの女帝ミサキを横に連れて歩いて夜の世界で色んな奴からあつーい眼差しで見られちゃう謎の男なんだって知ってた?」



そう言って派手なスーツの上に綺麗な上質のコートを羽織って大きなレイバンのサングラスをかけて私の手を自分の腕に絡ませた。




「知らなかった。

凜にいからそんな事も頼まれていたんだね。


……ありがと、一人じゃ心細いからって気使ってくれたんだね」




凜にい、ありがとう。

勿論シンコちゃんも…




銀ちゃん、凜にい、シンコちゃん

今日会ったり思い出したりした人は私にとって良かったと思える人しかいなかった。

だけど、この後戻る世界は、あの欲望に満ちる場所であり、『人』も大半が私にとって良い思い出なんていえる人はオーナーとママくらいでお客さんはほとんど酷い者ばかりだった。


だからそれを知る凜にいが気を利かせて、あの世界を久々に歩く私を1人にしない為にシンコちゃんに頼んだんだろう。

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