第十話◇猫カフェ

 ふぅ、とにかく受かってよかった……。

 エルナがグダッとソファーでだらける。本当に疲れた、今まで長かったなぁ。次は、面接かぁ。頑張らないと____。でも、まだ書類審査を受かっただけだから、本番はここからだ。面接の対策をしっかりとしないとなぁ。


(でも___、せっかく書類審査合格したからのんびり休憩でもしようかなぁ。面接は一ヶ月後とかだし。ふ〜っ。猫カフェでも行こうっと。)


 カフェではなく、猫カフェ。カフェでもいいのだが、猫にハマった。あっちの世界でもペットはいるが、猫にハマった。もふもふしていて、可愛らしいお顔、顔を突っ込みたくなるような感じ。とにかく可愛い。気まぐれなのがまたいい…!!


 と、いう風に鬼ハマりした。それに___、猫は癒される!!疲れた時、ご褒美には最高!!


「どこの猫カフェ行こうかしら〜?」


 週一で猫カフェに行っている。それなりにおすすめのお店はあるが__。どこに行こうか。やっぱりいつも言ってるあの店?ちょっとお高いけど猫天国のあの店?それとも…??


 手を顎に当て、う〜んとひとしきり悩み__、


「よーし、やっぱり常連の「猫カフェ のんびり草」にしようかしら。」


「猫カフェ のんびり草」。その名の通り、一面に草が溢れている。緑いっぱい。草は猫が食べてしまったらダメなので猫草以外はニセモノの草。広々とした空間、のんびりさんの猫ちゃん。メニューも猫をモチーフに作られているからか、すっごく可愛い。


 2週に一度は行くお店で、お店の人とも完全に顔見知り。とんでもない常連になっている。


「決まれば、予約しないと!」


 ぽちぽちっとあさっての分を予約し、たっぷり3時間コース。


 あさってだから、少しくらいは面接の練習しないとなぁ、と思い、以前面接について語っていたメンバーがいたので、You◯ubeを開いて見る。


 ***


 要約すると。

 ・自己紹介

 ・志望動機

 ・夢、目標

 ・どうしてリアブイを選んだのか


 などを聞かれるらしい。

 緊張せずに落ち着いて面接をするのが大切。まぁ、あんまり焦らず自分のペースでやればいいってことだと思う。

 あとは、書類審査と同じで普通じゃ受からない。

 面接で、他の人の印象に残ることが大切。普通の会社に入る時のような面接じゃ絶対に受からない。これは、誰にも言われなくともわかっていること。個性が大切だから。


 困ったものだ。あらかじめわかっていることなら対策は立てられるが___。ぶっつけ本番のところもある。うーん、難しい。とりあえず、しっかり対策できるところは対策しておこう。あとは、どうやって印象に残らせるか…___。

 取り敢えず、入りたいです!!!的なこと連呼しておこうか。そもそも、最初の夢がリアブイメンバーになることとかも面白そうだなぁ。

 狭き門を通るには、一般的思考で「それあり!?」的な感じがいいだろう。メンバーもみんな個性が強すぎるから。


「ふーーーー_____。面接ってどうすれば……………。」


 素直にこればかりはわからない。じっくりと書類審査のように考えれたらいいのだが、面接だ。固まっているのはダメだろう。

 しっかりと考えをまとめておこう。


「取り敢えず、メモにでも書こうかしら。」


 メモ帳を取り出し、自分について考えを膨らませる。

 目標は?夢は?どうしてリアブイがいいの?志望動機は?リアブイに入って何がしたい?


 と、いうふうに自分へとひたすら質問をして、その答えをメモ帳へ書いていく。


 その瞳は至って真剣で、「絶対に受かりたい!!!!」という気持ちがひしひしと伝わってくる。本当に、心の底から受かりたい。この感情は、何があろうとも揺るがない。面接で落ちたら、また書類審査からのやり直し____。

 せっかくここまで来たというのに。

 嫌な予想が一瞬頭によぎってしまった。だめだ。

 いや、まだ面接すら始まっていないというのに、何を弱気になっているんだ、私は。


(「情熱」を、面接官の人に伝えられるように______!!)


 茉莉花も言っていたではないか。1番大切なのは、「情熱」だと。その情熱を、決して消さぬように心を強く持つ。

 面接が落ちたからなんだというのか。情熱は、その程度ではない。

 応募資格の年齢が過ぎない限り、応募し続ける気合を持たないと。英玲奈の年齢は、17歳。ちょっと若く見えるだろうけど、いいだろう。エルフだし。

 親が許可をすれば、15歳からでも応募できるそうだ。この年齢をこき使って、ふんだんに応募しよう。


(年齢を過ぎるまで、絶対に諦めない!!)


 気合を入れ、自分について深く理解を試みる。

 エレナはエルフ。ということは、年齢制限の30歳までの間をほんの1日程度にしか感じないということもしっかりと頭の中に入れつつ、こう思ったのだ。「忘れそう。」と。しっかり気をつけなければ。ここは人間の世界、人間と習慣を合わせないと…。


 ぱんっと軽く頬を叩き、再びペンを走らせる。

 この情熱は、誰にも消せない。諦めがつくまでは、決して。


▶︎〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

次の更新は、11/14日です。多分。多分です。

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