沸点
「俺、高森
「ありがとうございます。先程一馬さんのお父様とお母様にはご挨拶いたしました。匡高さんの婚約者で、水川 沙彩と申します。よろしくお願いします」
「可愛いなぁ。お前がお見合いで一目惚れしたの解るわ~」
は?
その情報、一体どこから…。
「ズルいよな~。独身のなかで2番乗りじゃねぇか。あぁ俺も早く結婚してぇ」
そうなんだ。
前例がいるんだ。
だから高森は今日の集まりの事を、「気を付けて」と助言出来たんだ。
あれ? でもさっき、高森は後継者の中では初めてって、言ってた。
先に結婚された方は後継者じゃないって事?
そんな人は紹介されなかったけど、今日は来ているのかな?
一馬さんの言葉に引っかかった私は、思わず高森の顔を見上げる。
でもその言葉に動揺を見せない高森は「2番目とか、順番なんて関係ない」と、一馬さんを
「まだそんなに怒ってんのかよ、
「…、黙れ」
「お前の女取られて、挙句結婚したくらいでよ~」
「黙れって言ってるだろう!」
高森はハスキーボイスの声を荒げ、一馬さんの胸倉を掴む。
余りの俊敏な動きに、私は目を見開いて驚きを隠せなかった。
あの温厚な高森が怒ったんだ。驚くのは無理もない。
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