裏事情

「TAKAMORIグループは毎年、この集まりの前には決算で業績も出てくる頃なんです。万年トップの父の会社に適わない人達は嫌味も言うし、探りも入れて来る」


「え、嫌味?」


「最悪な奴は弱味も握ろうとしてきます」


「面倒くさ…」



 目頭に力を入れながら私がそんなことを呟けば、高森はまたハハッと笑う。



「本当、水川さんは面白い。眉間に皺の癖がつきますよ?」


「そんなこと言ってないで。私達の事がバレたら弱味になるんじゃないですか? そうしたら大変な事になりますよ?」


「確かにそうですね」



 いや、そうですねって。

 高森さん?あなた穏やかに笑ってる場合じゃないじゃないですか?

 なんでそんなに堂々としていられるんだろうか。



「隙のない父に言えない代わりに、ああやって母や僕を目の敵にしてきます」


「もしかして私にお義母様に付いていて、って言ったのって――」


「後継者の中で最初の婚約で、周りに母の立ち位置を再認識させるため。あとは、あなたの存在を母のお気に入りだとアピールするため、ですかね?」


「そうですよね~」



 それって、うまく私を使ったって事ですね~。

 別にそんな事で傷付きはしませんけど。

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