大きな石への評価

 でもそうなるのは理解できる。

 気になりますよね? かなり大きい石だもん。

 これを渡された時、指輪の入った箱をパカッと開かれて、憧れのシチュエーションぽかったもん。

 でも、事情があるこの関係では、高森が乗る高級車を見た時のように、開けられた箱の中身の大きなダイヤの指輪にドン引きした。


 いくらなんでもここまでするのか?――と。


でも、そうしなきゃいけなかった事にこちらに向けられる視線に納得した。

 この部屋にいる人達は、水川の家の人間が何故高森と? とでも思っているのかもしれない。

 私達は裏がある秘密の婚約だけど、高森はこの一族の目を納得させるために、そうせざるを得ないんだ。

 何より高森は、隠すほどの大事な彼女を晒されるより、そういう目で見られることにけている私の方が、対処しやすいからだと考えたんだろう。

 勿論、私だってこの目に負ける気はしない。

 まぁ、「第一印象が大事」と散々両親に言われてきたから、そのノウハウがここで少しは役に立つくらいだけど。



「…」



 チラッと高森を見れば、あちらもあちらで経営陣に囲まれていて。

 顔では笑ってはいるけど、「出来れば参加したくない」と言っていた人が果たして心の中では何を考えているのか…。

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