憂鬱な連絡

「沙彩さん、遠慮しないで食べてね?」


「ありがとうございます。美味し過ぎて、今日は一気に体重が増えちゃうかもしれないですね」


「まぁ! それを聞いたら料理長も喜ぶわね? フフフ」



あぁ。憂鬱な顔が出ないように、ちゃんと婚約者らしくしないと。

今日は日曜だし、本当だったら隆至と新しい部屋で使ういろんなものを買いに行こうとしていたのに。

昨夜、突然高森から《 明日は高森家へ一緒に行くことになりました。一族が集まりますので予定がありましたらキャンセルしてください 》と、一方的に連絡が来た。

「はぁ?」と、電話を切っても開いた口が塞がらない。

納得がいかないのは当たり前だけど、まぁ、そう言う決め事だし。

「次の週末に行こうよ」と、隆至に慰めてもらいながら当日の朝を迎えた。

どういう理由で高森家へ行くのか聞いていなかった私は、苦手な高森のピカピカ高級車の中で話を聞いたら――



「ハー…」



思わずため息が出た。

それも、お腹の底から出るようなため息。

そう言うのは昨日の電話で言ってよ…。



「 “ 高森一族 ” と言うのは、何人くらいが…?」


「父方の親族、いわゆる “ TAKAMORIグループ ” の経営者達が集まるので、ざっと20名くらいかと」


「20名…」



また良い声でサラッと言っちゃってくれてるけどさ。

一族と言うから、おじさんおばさんとか、いとことか。

親戚の集まりなんかと思うじゃん!

経営陣なんかい!

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