ビジネス
でもこんな事をやり遂げようとするところ、最早尊敬すらしてしまう。
私も彼とは絶対に別れる気はないし、これ以上付き合いの事を親に隠し通しているのも、ましてやしつこく意見されるのも嫌だ。
だからこれはお互いに都合がいいって事だ。
「新居には私も彼女を連れてきますし、部屋が隣ですがそこは干渉をしないようにしましょう」
「わかりました」
「この結婚はビジネス上の契約だと思ってください。もちろん不貞行為で訴えるなんてことはナシだとお察しして頂ける事だと思いますが――」
「分かっています。要は親を納得させればあとは自由でもいいという事ですね?」
「そうです。今お勤めの会社を辞める必要もありません。私が説得しますから」
「わかりました。交渉成立ですね」
「理解が早くて助かります」
こうして、婚約と言う名の契約が成立した。
悩みがなくなり気分が良くなったのか、「良かった」と、高森は爽やかな笑顔を振り撒いていた。
私がお見合いをすると言った時に、悲しそうな顔を見せた彼とは全く逆だ。
でもこれで私も彼に良い報告が出来そうだ。
結婚と言っても形だけ、付き合いはこれまでと変わらない、と。
最初からこれが分かっていたら、あの時涙を流さずに済んだのに。
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