青天の霹靂

「形だけの結婚で良いんです」


「え? 形だけ? …とは、どういう事ですか?」


「私には他に付き合っている女性がいます。けどその女性とは結婚できない理由があります」


「えっ?!」



 この人、お見合いなのにそんな大事な事を私に暴露しちゃってもいいの?

 しかも同時に予想外な情報が入ってきたから、私の脳内はパニックだ。



水川みずかわさんは、お付き合いしている人は?」


「…」



 一瞬、本当の事を言っても良いものなのか躊躇とまどう。

 でもこの人は言ってるしなぁ…



「大丈夫です。本当の事を言ってくれて構いません」



 そう、なんだ…。

 言っても良いんだ。



「い…います」


「別れる気は?」


「別れたくない、です」


「ならこうしましょう。私と結婚をしていただけるなら新居はマンションの同じフロアで2部屋用意します。なんの遠慮もなく今まで通りの生活をして構いません」


「え? このまま彼と付き合いを続けても良いという事ですか?」


「えぇ、そうです。ご自身の食費以外は全てこちらがお支払い致します」



 お見合いに無理やり連れてこられた私にとっては、この言葉は青天の霹靂だったけど。


 要は、彼女と別れたくないけど親の手前、形だけの結婚する。


 凛としている人はやる事も格好良いというか。


 通常なら考えられない提案をする目の前に人に、その場でちょっと感心しちゃったくらいで。


 格好良いと言うより、破天荒っていう言葉の方がしっくりくるかも…。

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