第43話

皆美咲をじいっと見てたし、ちょっとの間は誰も口さえきかないような感じだった。



「シチューさ、市販のでもいい?

ホワイトソースから作って欲しい?」



そんな美咲の言葉が多分スーパーでの初めての言葉だった。




「え、え?うーん?どういう意味?」



そう声を出すのは須藤さんで、俺たちも意味がわからなくて首をかしげるだけだった。



それを見ると美咲はちょっと苦笑いしてから、そっかっと言って携帯を取り出していた。




「もしもし、あ、もう家?

うん、うん、おっけ、じゃあ早く帰るよ。

今ねスーパーなんだけどね、シチューなんだけどさ市販のでもいい?それともホワイトソースからがいい?


ふふ、別に大変じゃないけどさ。

いつもは私と凜にいの分だけだから市販のだと多いからホワイトソースから作るけどさ、今日は皆いるから別に市販のからでもいいかなって。


うん、じゃあそうするね、ありがとう、はあい、後でね」





そう言って美咲は電話を切っていた。

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