第23話

「ほら、ミサキ答えてあげなよ」



雅人さんのそんな声で、一応ためらいがちにも私は答えた。



「うーん、凜にいとの関係か…。

難しいなぁ、よくさ、友達以上恋愛未満って言葉があるじゃん?

それで言うなら、友達以上恋人以上家族以上かな」




あは、自分で言っといてあれだけど。

私今結構上手い事言った。


でも、まあ恋人なんていたことないから恋人以上なんて言葉はわからないんだけどね。


そんなふうに私は簡単に言ったつもりが…





「なんだよっ、それっ」



苦しそうな声を出すのは灰利だった。




「え?」



「ハッ、なんだよ、じゃあ俺らなんかいらねえか?」



なんで、そんな答えが出るのかは理解できなかったが、もしかしたら、傷ついている彼に今の言葉は駄目だったのだろうか?




「俺らより、大切って言いてえんだろ」



唇を噛みしめる、灰利があまりにも辛そうに見えた。



ああ、やっぱり、彼らはまだ傷がついていて、誰かに捨てられる事が一番辛いんだと勝手に考えた。

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