第24話



綾子がトイレから戻ってきて、席に着くと



「決めた!俺は柏木さんに告る!!」と宣言してジョッキをテーブルに置いた。



裕二と綾子が同じタイミングで顔を見合わせた。



さすが年季の入ったコンビだ。



恋人同士になったからって、その息が乱れることがない。



「……今は、止めとけよ」



裕二が枝豆に手を伸ばしながら言った。



「何で~」



「今のままじゃ絶対フられるだけよ」



綾子も苦笑い。



「何でよ!お前らだって何だかんだ言ってくっついたじゃん」



「そりゃあたしは裕二のこと男としては見てなかったけど、友達としては好きだったもん。でも柏木さんは?あんたは上司としても怪しい」



と、こともなげに綾子が言う。



痛いところを突かれて俺はガクリとうな垂れた。



そ~なんだよなぁ。



「それに啓人。お前大事なこと忘れてないか?」



せっせと枝豆を口に運びながら裕二が口を開いた。



お前そんなに枝豆好きなら自分とこ持ってけば?



俺はつまみどころじゃない。



「……大事なこと?」面倒くさそうに目だけを上げると俺は祐二を見上げた。







「そ。柏木さんとの約束。





“あたしを好きにならないで下さい”って条件」



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